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「F1種」は、一般的に生産効率が高く、サイズや食味が均一に育ちます。収穫時期もそろいやすいため、大量生産や流通、販売を考えた場合、固定種・在来種よりも優れていると言えます。
また、玉ねぎの場合、「F1種」は、大玉で貯蔵性を高める形で作らています。
「貯蔵性を高める」ために、肉質が硬く、良く締まった品種がベースになっており、調理の際の火通りが固定種に劣るとされています。
食味については、近年では品種改良がかなり進んだようですが、それでも固定種・在来種には劣るようです。
固定種の玉ねぎは、「F1種」に比べ、生ならば歯ごたえがよりシャッキリし、食感に優れています。
また、煮物にした際に、煮えやすいという特徴があるとされます。
固定種は、種を採り、その地で生産を繰り返すことで、その土地の風土に適した性質に育っていきます。
翔栄ファームのノンクーラーも、少しづつ生産地・前橋の風土に馴染みつつあります。
今後、どのような性質・食味の玉ねぎに育っていくのか、とても楽しみです。
私たちが固定種・在来種の野菜にこだわる理由は主に2つあります。
1)雄性不稔の種は本当に安全なのか?
1つは、現在流通する「F1種」の安全性に対する疑問です。
「F1種」というのは、異なる品種の種を掛け合わせて生まれる雑種です。
高校の生物で学ぶメンデルの法則をご記憶の方もいるかと思いますが、交雑させるとその第1世代は性質がそろいます。
「F1種」というのはこの性質を利用し、均質に育つ種を作る技術なのですが、それそのものが問題という訳ではありません。
現在、「F1種」の種を大量生産するために、「雄性不稔」の株が用いられていることに、私たちは疑問を持っています。
元々、植物はオシベとメシベの両方を持っており、自分自身で受粉する(自家受粉)ことができます。
この性質は「F1種」の種を生産するために問題となるため、オシベを取り除く必要が出てきます。
この作業にものすごい手間ひまがかかりますが、そこで登場するのが「雄性不稔」です。
「雄性不稔」というのは、オシベを持たない株のことで、自然界では、時折、突然変異で生まれます。
最初からオシベを持たない株を使えば楽に「F1種」の種を量産できます。(実は、この雄性不稔を使った大量生産の技術が最初に使われたのがタマネギなのです。)
※現在では、意図的に「雄性不稔」の株を作り出す技術が使われているとも言われています。
ただ、「オシベを持たない」というのは、人間でいう無精子症のようなものです。その親株を使用することが、本当に安全なのか?
私たちは疑問を感じているのです。 ※残念ながら、その安全性(あるいは危険性)についての研究はなされていないので、正確なことはわかりません。
2)強大なグローバル企業に種を押さえられている現実
私たちが問題に感じていることはもう1つあります。
それが、「F1種」の種は毎年購入する必要があるということです。
「F1種」は、第1世代は性質が均質になりますが、第2世代は完全にバラバラになるため、続けて育てることが難しい種です。
また、近年では、種会社が、第2世代が取れないように加工を施すケースもあるようです。
そして、現在販売されている種の大半は、海外の巨大なグローバル企業が提供しています。
どこかで深刻な食糧危機や種の買い占めなどが発生した場合、海外の企業は、これまで通り、日本に種を販売してくれるのでしょうか?
先ほども言ったように「F1種」の種は毎年購入する必要があります。
グローバル企業が「もう日本には種を売りません」とした場合、日本の大半の農家さんは、何も作ることができなくなるかもしれないのです。
「F1種」の種を使い続けることは、人体に対する安全性の問題だけでなく、食料供給という点から見ても、大きな問題があると、私たちは考えています。
これに対し、固定種・在来種の種は、自分たちで種を採り、増やし、育てることができます。
育ちがバラつき、生産性に劣りますが、それでも私たちが固定種・在来種の種にこだわる理由の1つは、ここにあります。